第11回目は会社の設立の際に決める定款についてご案内いたします。
年始や年度初めに向けて会社を設立したり、個人事業から法人へ移行する方が増えてきますが、今回は会社の「決めごと」である定款についてお話しいたします。
定款とは会社の概要や基本的な規則を定めた書類で、次の事項を記載します。
最初に会社の名前つまり商号を決めます。商号には漢字、ひらがな、カタカナ、ローマ字、アラビア数字などが使用できます。市内外にある他社と同じ社名を用いることもできますが、誤認されたり当該他社から訴えられる可能性もありますから、なるべくオリジナルの社名にしましょう。また、株式会社の場合は、社名の前か後に必ず「株式会社」という文字を入れなければなりません。いわゆる前株・後株と呼ばれるものですが、昔はほとんどが後株でしたが、現在では前株の社名の方が多いようです。
次に事業目的を決めます。
事業目的は事業の概要を記載したもので、取引先や行政機関、金融機関の目に触れるところですから、「その会社がどんな事業をしているのか」が分かるように記載します。ただし法的にも正確な記載が必要ですから、単に「介護事業」とではなく、具体的に「介護保険法に基づく介護予防訪問介護事業」のように正確に記載します。ここで不正確な記載があると、後から3万円の税金を支払って定款の変更を届けなければなりません。実際に始める事業に関わらず将来的に考え得る事業や、異業種をいくつ組み合わせても構いませんが、よほど大企業でもない限り定款に20項目も30項目も目的を並べるのは見栄えがよくありません。
さらに、本店所在地を決めます。これは自宅でも構いませんが、移転したときは3万円または6万円の税金を支払って変更しなければなりませんので、短期契約の賃貸物件などは注意が必要です。
そして、会社の機関設計つまり取締役を何人にするか、取締役会を設置するかどうかを決めます。取締役会を設置する場合は監査役も必要です。
それから、資本金を決めます。1株あたりいくらにするか、設立時にいくら出資するかを決めます。1円でも設立できますし、自動車などの現物を出資することもできますが、あまりに少ない資本金は恥ずかしいものです。特に金融機関から融資を受ける予定の場合には、資本金が少ないと後で増資を求められます。
このほかにも、定款に記載すべき事項はいくつかありますが、これから設立をご検討の方は、書籍やネットでも情報はあるものの、地域によって記載のルールが異なることも少なくありませんので、後で変更の必要がないように専門家と相談しながら前もって検討なさってください。