第10回目はイベントの主催者と、参加する方についてのお話しです。
秋は天候も安定するため外出しやすく農産物の収穫を迎えることもあり、各地で様々なイベントが開催されます。近年は個人や任意団体がイベントを主催し、プロではない出店者も増えています。主婦や会社員が趣味や副業としてハンドメイド製品を制作して販売したり、アロマやマッサージなどの施術を行うこともあり、実店舗を持たない作家から購入したりサービスの提供を受けることができるイベントは大盛況となっています。
一方で考慮すべき重要な事項もあります。
主催者や出店者は来場者に販売する商品や提供するサービスによって客が損害を受けた場合、損害賠償責任があります。無料または安価だから責任を免れるわけではありません。
客の立場から見れば、安価なフリーマーケットで施術を受け骨折したのだから後遺症が残ってもやむを得ない、では納得しないでしょう。特に食べ物など人の体に入るもの、マッサージなど人の体に触れるものは十分な注意が必要です。全国で多くの被害者が発生した通販業者の石鹸に含まれる成分によるアレルギー、化粧品会社による白斑病などは記憶に新しいでしょう。
客の治療代や入通院費だけでなく、治療中の休業補償や後遺症による将来の逸失利益についても賠償しなければならず、骨にひびを入れただけでも数千万円の賠償となることがあります。
プロの出店者の場合、通常は賠償責任保険に加入していますが、主婦や会社員の場合には保険に加入している方は皆無でしょう。そのようなケースで事故に遭った場合、出店者は多額の賠償責任を負うだけでなく、もし出店者に賠償金を払う資力がない場合には、客は泣き寝入りをするしかありません。ですから、客の立場としても、その出店者が信頼できるかどうか見極めなければなりません。
このようなことから、イベントの主催者は出店者の担保能力を確認してから出店を許可し、出店者も仮に販売予定額より保険料の方が高額だとしても、万一に備えて保険に加入することが必要です。
なお、飲食物を提供、販売する場合には、それが一時的なイベントであったとしても、主催者及び出店者は保健所などの許認可や届出が必要な場合があり、個人が家庭の台所で調理した食品を販売することは法的に規制があります。
上記のとおり、主催者や出店者には法的な義務があること、客としての来場者は受けた損害について自己責任となる場合があることを十分に理解して、イベントに出店、参加することが求められます。
みなさんが秋の行楽のシーズンに各地のイベントに参加される際には、安心して楽しめるよう願っています。