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第8回 創業の前に考えるべきこと~顧客ターゲットを絞る~ 2015年6月号掲載

第8回目は創業についての心構えのお話しです。

 これから会社やお店を始めるときのご相談で、必要な経営計画や事業計画のほか融資や補助金の相談を多く受けます。
 相談者は、長年会社を勤め上げ私よりはるかに人生経験豊富な方が多いですが、相談後はほとんどの方に「今までこんな(知識と熱意を有する)人に出逢ったことがない」と驚かれます。これは私が広範囲な知見を有するというより、何十年と勤務し立派な役職に就いていた方も、自分の力で起業するというのは未知の世界の話であるということでしょう。
 
 我が国の全企業に占める中小企業の割合は99.7%です。中小企業が活性化しないと日本全体の経済が好転しません。資源も資金も人員も限られている小規模事業者は、大企業と徹底した差別化を図り、顧客に対して個別具体的な提案型の事業を行うことにより高付加価値、高収益になるよう努力すべきです。
 
 そのためにまず顧客ターゲットを絞り込んでみましょう。
 中小企業はリゾートやショッピングモールのように老若男女すべてを満足させることはできませんから、どの地域、性別、年齢、職業、家庭環境の顧客に訴求していくかを決めることにより、限られた企業の資源を有効に活用できます。
 
 さて、今年の3月に北海道と本州を結ぶ寝台特急トワイライトエクスプレスと北斗星が運行を終了しました。
 運行終了日が近付くにつれて列車のチケットがオークションで100万円以上の値段で取引されていると報道されました。
 私も両列車に3月に乗ってきましたが、最後に寝台特急に乗ったのは25年前で、近年は毎月飛行機で旅行をしていますから鉄道のことなど忘れていました。先日のセミナーでフランス料理のフルコースを楽しみながら個室で移動できる魅力を語り「寝台特急に乗ってみたいか」を訊ねたところ、百数十人で興味があるのは私1人でした。

 100人に1人しか顧客がいない市場と聞くと極めて閉鎖的なように思えますが、その1人は飛行機よりはるかに金銭を消費するわけですし、わずか1%の市場でも旭川市全体では3,450人の見込みの顧客がいることになり、全国では120万人という決して無視できない市場が生まれます。
 
 消費者は「安くて早くて便利」だけを求めているわけではないので、中小企業は「雰囲気やムード」「おもてなし」「新たな価値観」を提供することによりニッチな市場で大活躍できるはずです。
 さらに首都圏をはじめとして「北海道産」には絶大な信頼と憧れがあり高価格でも購入しますから、「北海道ブランド」を道外や海外の顧客に対してアピールすることにより、北海道の企業の繁栄、北海道の発展に繋がる道もありそうです。
第9回 裁判で真実は明らかになるか 2015年8月号掲載 | Home | 奈良井宿と、妻籠宿と、馬籠宿と。 奈良井宿の夜景も。

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