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第6回 高齢者の財産を守る~まずは落ち着いて相談を~ 2015年2月号掲載

第6回目は高齢者の財産を狙う人たちについてのお話しです。

 今年の全国の特殊詐欺被害額は500億円を超えました。
 子供の人数が少ない、または疎遠な家庭においては、夫婦のみ、または一人暮らしという高齢者は、よほど社交性がない限り家にこもりがちです。そういう暮らしの中で、数年ぶりに子供や孫から電話がかかってくれば誰しも嬉しいことでしょう。まして自分を頼ってくれたとなるとすぐに助けてあげたいとの心理が働きます。加えて、「裁判」「弁護士」「警察」などの語句は聞きなれないので、パニックになってしまい本人に確認を取ることもなく送金してしまいます。

 まずはいったん電話を切り、事前に知っている本人の電話番号にかけ直してみましょう。本人の電話が繋がらない場合で、電話の相手が弁護士や警察を名乗っているのであれば氏名と代表電話を書きとめ、かけ直してみます。弁護士の事務所や警察署の代表電話が携帯電話なんていうことはあり得ませんし、固定電話の番号を教えないというのは明らかに詐欺です。

 ただ、このような明白な詐欺以外にも、高齢者の財産を狙う人はたくさんいるのです。
 高齢者は、困っている自分に突然「親切に」接してくれる見知らぬ他人に恩を感じやすく、法外な値段の商品やサービスを売りつけられたり、高額な財産を僅少な金額で買い取る押し買いの被害に遭いやすくなります。

 このような被害を防ぐための成年後見制度は12月号でご紹介しましたが、実はこの後見制度を利用して財産を横領するという事件が急増しています。
 任意後見人または成年後見候補者には自分のことをよく知っていて信頼している親族を選任することが多いですが、残念ながらその親族に財産を横領されるケースが多々あります。親族だから多少の使い込みは許されるとの心理が働くのでしょう。
 また私の扱った案件では、近所の住職が突然親切に訪問を繰り返してくれ、訳も分からないまま後見契約を結び印鑑や印鑑登録カードを持ち去られてしまったり、理由のない大金を支払ってしまったということがありました。後見契約を解除後も執拗に再契約を迫るなど、後見制度を利用して財産を狙っていることは明らかです。

 後見人には多少の法律や会計知識が必要です。親族または知人を安易に選任すれば後見人としての職務が大きな負担にもなることもあります。

 親族や法律の専門家、住職といった人たちに財産を狙われてしまうのは悲しいご時世ですが、それも現実なので疑心暗鬼になる必要はないものの、親しさの度合いや肩書ではなく、あらかじめ「餅は餅屋」つまり財産管理の専門家に相談したほうが安心です。
第7回 外国人とともに働く社会に 2015年4月号掲載 | Home | 水鏡の愛媛県・今治城

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