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第5回 成年後見制度 ~私が私として生きるために~ 2014年12月号掲載

 第5回目は、成年後見制度についてご紹介いたします。

 私たちは誰しもが「ピンピン・コロリ」つまり寝たきりにもならず介護も必要とせず頭もはっきりした状態で最期を迎えたいと願いますが、現実には高齢者の4人に1人が認知症(痴呆症)またはその予備軍となり、認知症にならなくても多くの方が老後に介護を必要とします。

 認知症になると預貯金の管理や不動産の売買、施設の入居契約などの法律行為や、相続などの法律手続を行うことができなくなるほか、詐欺や悪質商法に騙される可能性もあります。

 そのように判断能力が衰えた方を保護するための制度が成年後見制度です。
成年後見制度では判断能力が不十分な本人つまり「被後見人」について、「後見人」と呼ばれる人が本人に代わって法律行為を行います。

 代理契約と大きく異なるところは、本人の財産維持に利益となるのであれば本人の許可や理解を得ることなく法律行為が行うことができ、本人が不利益を自覚していなくても法律行為を取り消す、または無効を主張することができます。

 成年後見制度には法定後見制度と任意後見制度があります。

 法定後見制度は、認知症などすでに判断能力が不十分な方に対し家庭裁判所が選任した後見人が本人の代わりに法律行為を行うものです。本人の四親等内の親族が家庭裁判所に申立てを行い、家庭裁判所は親族や法律隣接職などの専門家を後見人として選任します。選任された後見人は本人の財産を管理し、裁判所から定期的に帳簿等の提出を求められることがあります。

 任意後見制度は、現在判断能力がある方が、将来判断能力が衰えたときのためにあらかじめ後見人を選任しておくものです。  任意後見契約は公正証書で契約しますが、契約時にはまだ後見制度はスタートせず、実際に判断能力が不十分となったときに家庭裁判所に申立てを行い、それから後見人としての仕事がスタートします。

 任意後見制度は家庭裁判所が後見人を選任する法定後見制度と異なり、自分が信頼できる人を後見人として選任できるメリットがありますが、資格や能力、知識もない人に一方的に勧められて後見契約を結び、財産を横領されるケースも散見されますので、単に「旧知の仲である」「お世話になっている」というだけで安易に契約を結ばないように気を付けましょう。

 成年後見制度に興味を持ち積極的に利用するケースはまだ少ないですが、相続手続きなどで銀行等から求められ利用せざるを得ないケースは非常に多くあります。

 長寿の時代ですから、まずは自分が安心して老後を迎えることができるように生きているうちの人生設計についても元気なうちに考えてみましょう。
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