第3回目の今回は法人の設立手続についてご紹介します。
事業を展開するに当たっては、個人事業と法人とがあります。起業する際に個人事業ではじめるか、法人を設立するか悩むときには、それぞれのメリット、デメリットを把握してこれからはじめる事業がどちらにあうか判断するとよいでしょう。
個人事業は開業の手続や経理が簡単なほか、給与額や機関設計の決定も自由にできます。法人は設立費用や社会保険料がかかりますが、対外的な信用度が比較的高く、給与所得控除、長期の欠損金の繰越、退職金の損金算入ができるなどのメリットがあります。融資を受ける際には事業計画書等が決め手になりますが、資本金が確保されている法人の方が審査が通りやすいこともあります。
法人を設立する場合、一般的に営利を目的とするのであれば株式会社、ボランティアが主体であればNPO法人、人やモノの集まりが主体であれば社団法人や財団法人などがありますが、ここでは株式会社についてお話しします。
株式会社を設立する際には、商号、事業目的、本店所在地、資本金、事業年度、機関設計などを考え、定款を作成し公証人の認証を得ます。その後、資本金の払込みや現物出資を行い、法務局へ登記申請を行います。会社の設立後、健康保険や厚生年金、労働基準監督署や公共職業安定所、税務署への手続を行います。
これらの手続の情報は、市販の書籍やインターネットからも得ることができますが、事業の目的や内容は会社ごとに大きく異なりますので、一度でも専門家に相談した方がより適切な機関設計や経営戦略についてアドバイスを受けることができます。また専門家は、助成金や補助金、節税や企業法務、マーケティングなど正確かつ豊富な知識も有していますから、積極的に活用なさってください。
起業する際の何点か気を付けなければならないことがあります。助成金や補助金の多くは雇用や事業の継続を条件に数か月後に受給できるものですから、起業開始前に現金でもらえる助成金等は多くはありませんのである程度自己資金が必要です。
また、給与所得者のように毎月決まった給与を受け取れるわけではなく、労働時間と収入は必ずしも比例しません。さらに会社から自動的に退職金や休業補償を受けられるわけではないので給与所得者より将来設計はきちんと行わなければなりません。当職としては給与所得者の少なくとも1,5倍から2倍以上の収入を得て老後に備えるよう顧客にアドバイスしています。
会社の経営は難しいですが、人とのつながりなど人生の生きがいに結びつくことは多いですから、「第二の人生」まで待たずに好機があれば積極的に起業されることをお勧めします。
08
2016